mgmg time - 2/2

おまけ。ケンケン視点。

 

ヘルシーなのにおいしい、無農薬野菜しか使わないレストランの創作料理。
夜景の見える高級ホテルでのフルコース。
ゆったりとジャスが流れる会員制のバーのジントニック。
味わったことがないわけじゃない。味わったことがあるから、知っている。
舌に残っている記憶の中のそれらは、確かに美味しかった。
機会があるなら、また食べたい。
だけど、それらはどうしても、一番に腹を満たしてはくれない。
というのも、俺は知っていた。

「ああ、あったかーい!ありがとう、ごうちん」
「おー」
「おいしいねぇ、ケンケン」
「そうだね」
俺の返事を聞いているのかいないのか、悠太はおざなりに頷いて、再度肉まんに齧りついた。両手で大事そうに持った肉まんは、もうすでに半分も悠太のお腹の中だ。一口が大きい彼は、がぶりと頬張った後すぐに、はふはふと幸せそうに口を動かす。
何とは明確な名前は出てこないけど、小動物みたいだなと思った。
あれだけおいしいおいしいと食べられるなら、あの肉まんも満足だろう。
(……らしくないことを考えた)
誤魔化すように手元の肉まんをかじる。タケノコがシャキシャキとしていて、思いのほかあっさりした味付けだ。確かに、美味しい。
ジュワリと口の中に広がる、豚肉の甘さを噛みしめる。
そして、この肉まんパーティーの首謀者に視線を向けた。
こちらも頬に肉まんを頬張っていて、もごもごと動かしている最中であった。
意外に育ちのいいソイツは、食事中むやみに喋るタイプではないから、会話がないまま目だけが合う。
パチンと合った先で、いつもは鋭い目元が満足げに緩んだ。

夕飯もとっくに食べ終えた後、午後10時過ぎ。ダイニングに集まった3人の男たちが各々に肉まんを頬張って口を動かしている。
ただそれだけの特別でもないような食事が、一番腹を満たすだなんて。そんな話がここにあって、どうしようか。
肉まんを咀嚼し終わった口元が緩む。
食べ終わるのが惜しくて仕方ないなんて、どうしようか。