フロアズでさしすせそ - 5/6

選択


気付くと青い部屋の中にいた。壁も床も青。そんな中に、片割れが立っていた。

「ジェイド」

「おや、遅かったじゃないですか」

クスクスと笑うジェイドは、山登り用リュックを背負う感覚で、何故か白い羽を背負っていた。

「何ソレ」

「僕、今は天使なんです」

「は?」

「天使には羽がつきものでしょう?」

自称天使はそう言って、羽をバサバサと揺らしてみせる。

動くんだ、ソレ。

「ていうか、ここ何処?」

「アズールの墓場ですよ」

墓場? アズールの?

そんなオレの疑問に答えるように、彼は自分の足元を指さした。

「ほら、棺桶が此処に」

「……2つあんだけど」

「彼が寂しがるといけないので」

青い墓場に2つの棺桶と、自称天使の片割れと、オレ。

なるほど。これは夢か。

「で、アズールはどっちに入ってんの?」

「当ててみてください」

オレはしゃがみこんで、棺桶に触れる。

十字架がアクセントのよく見る棺桶だった。

蓋に手をかけて力を入れるも、持ち上がる気配がない。

「棺桶は、悲しみの涙で溢れています」

「つまり?」

「開きません」

「なるほどねぇ」

叩いてみても音がならない。音の響きで確かめることは出来ないようだ。

「一応聞くけど、アズールは死んだの?」

「はい」

「棺桶に入れたのは、ジェイド?」

「いいえ。ご自分で籠ってしまいました」

「そっか」

そういえば、眠る前までアズールとケンカしてた気がする。

ケンカの原因は、なんだったっけ。

「この墓場は、アズールの望みのカタマリです」

うっそりとした声に顔を上げる。天使は、瞳に憐みを湛えていた。

「ねー、質問」

「何でもどうぞ」

オレは右側の棺桶を指さす。

「アズールが入ってるのは、こっち?」

「いいえ」

今度は左側の棺桶を指さす。

「アズールが入ってるのは、こっち?」

「いいえ」

「……、分かった」

オレは頷いて、右側の棺桶の前に座った。

「今の僕は真実しか言えません」

「最初から嘘と本当を交互に喋ってんだろ? なら、アズールがいるのはこっち」

「ふふ、流石。正解です」

彼はそう言って、どこからか取り出したステッキを振った。棺桶の蓋がすんなりと開く。

その中でアズールが眠っていた。頬に触れると、じんわりあたたかい。

「あのさ、正解ついでに教えてよ。ハズレだったら、どうなってたわけ?」

「すぐに眠りから覚めていましたよ」

「……それで?」

「もしかすると、目覚めた彼が利き腕を逆にしていたかもしれませんね」

そう言って、天使は嬉しそうにわらった。

ホント、ヤな夢。