選択
気付くと青い部屋の中にいた。壁も床も青。そんな中に、片割れが立っていた。
「ジェイド」
「おや、遅かったじゃないですか」
クスクスと笑うジェイドは、山登り用リュックを背負う感覚で、何故か白い羽を背負っていた。
「何ソレ」
「僕、今は天使なんです」
「は?」
「天使には羽がつきものでしょう?」
自称天使はそう言って、羽をバサバサと揺らしてみせる。
動くんだ、ソレ。
「ていうか、ここ何処?」
「アズールの墓場ですよ」
墓場? アズールの?
そんなオレの疑問に答えるように、彼は自分の足元を指さした。
「ほら、棺桶が此処に」
「……2つあんだけど」
「彼が寂しがるといけないので」
青い墓場に2つの棺桶と、自称天使の片割れと、オレ。
なるほど。これは夢か。
「で、アズールはどっちに入ってんの?」
「当ててみてください」
オレはしゃがみこんで、棺桶に触れる。
十字架がアクセントのよく見る棺桶だった。
蓋に手をかけて力を入れるも、持ち上がる気配がない。
「棺桶は、悲しみの涙で溢れています」
「つまり?」
「開きません」
「なるほどねぇ」
叩いてみても音がならない。音の響きで確かめることは出来ないようだ。
「一応聞くけど、アズールは死んだの?」
「はい」
「棺桶に入れたのは、ジェイド?」
「いいえ。ご自分で籠ってしまいました」
「そっか」
そういえば、眠る前までアズールとケンカしてた気がする。
ケンカの原因は、なんだったっけ。
「この墓場は、アズールの望みのカタマリです」
うっそりとした声に顔を上げる。天使は、瞳に憐みを湛えていた。
「ねー、質問」
「何でもどうぞ」
オレは右側の棺桶を指さす。
「アズールが入ってるのは、こっち?」
「いいえ」
今度は左側の棺桶を指さす。
「アズールが入ってるのは、こっち?」
「いいえ」
「……、分かった」
オレは頷いて、右側の棺桶の前に座った。
「今の僕は真実しか言えません」
「最初から嘘と本当を交互に喋ってんだろ? なら、アズールがいるのはこっち」
「ふふ、流石。正解です」
彼はそう言って、どこからか取り出したステッキを振った。棺桶の蓋がすんなりと開く。
その中でアズールが眠っていた。頬に触れると、じんわりあたたかい。
「あのさ、正解ついでに教えてよ。ハズレだったら、どうなってたわけ?」
「すぐに眠りから覚めていましたよ」
「……それで?」
「もしかすると、目覚めた彼が利き腕を逆にしていたかもしれませんね」
そう言って、天使は嬉しそうにわらった。
ホント、ヤな夢。
