フロアズでさしすせそ - 4/6

Stargazer


アズールの背中、腰より少し上の辺りに、ヒトデの形をしたホクロがある。小さな小さなホクロだ。

オレが最初に見つけた時、それは北の空に光るポラリスに見えた。白い肌の上の、目印である。

そう思うと愛しくて、彼の服を脱がした後、いつもそこにキスをおとすことにしている。

きっと、アズールだってこのホクロがあることを知らないだろう。

彼は後ろを振り返らないし、オレが体に口づけることになれてしまったから。

だとすれば、このホクロはオレだけが知っている、アズールの秘密になるんだろうか。

ジェイドは、どうだろう。知っているだろうか。そうだとすれば、2人の秘密ということになるけれど。聞いてみようとは思わないから、今のところオレだけの秘密だ。

スルリと彼がシャツを落とすとき、あるいはシャツをたくし上げるとき、そのホクロを見つけるのが好きだ。

それから、彼が制服や寮服をきっちりと着こんでいるとき、その背中にそのホクロがあることを想像するのもいい。オレだけが、そのヒカリを知っていると思うと、ぞくぞくする。

それが嬉しいのは、優越感を抱いているからかもしれない。アズールが秘密をコレクションしているのも、こういう感情があるんだろうか。

「人が知らないことを知っている」というのは、弱みを握っているという事実のほかに、支配欲を満たすことができる。

別にアズールをどうこう、というわけじゃないけど。そもそも弱点にはなりえない秘密だ。

ただ、アズール以外には、どうだろう。

「他の人が知りえないことを知っている」。これは、アズールへの優越感ではなく、他人への優越感なのだ。「お前らは知らないだろうけど、オレは知っているぞ」、そういう類のもの。

見える証をオレがつけるのもいいけど、元々あるホクロは、ずっとアズールに刻まれている。ささやかで、セクシーで、隠されているオレの星。

いつかアズールが、離れる気を無くした時には、そっと教えてあげるのだ。

「オレだけが知っている、アズールの秘密を教えてあげるね」

そう言って。

もしかしたら、彼は「そんなこと」と言うかもしれないし、「趣味が悪い」と言うかもしれない。そんなことは、どうだっていいのだけど。

でも、笑ってくれるかもしれない。「そんなかわいらしい独占欲を持っていただなんて、知りませんでした」とかって。

その時まで、オレは誰にもそのホクロの話をするつもりはない。

そう、これは誰も知らなくていいある星の話だ。