アズール。おはようございます。
おや、寝不足ですか?「夜更かし」の証がクッキリ出てますよ。
後でちゃんと誤魔化さないと。何が弱みになるか分からないですからね。
そう言えば、フロイドを見ませんでしたか?
今日は珍しく早起きをしたようで……。
え?さっきまで?
そうですか。したかないですね。
朝食の時間に遅れることはないでしょうから、僕たちは先に食堂に向かっていましょうか。
それにしても、アズールは隠れるのが本当に上手ですよね。
はい、昨日の「かくれんぼ」の話です。
僕はすぐにフロイドに見つかってしまいましたから。
まさか、態とだなんて、そんな。
全力でかくれんぼを楽しもうとしていた僕を、疑っているんですか?
ああ、アズールがそんなにひどいことを言うなんて。ぴえん。
……、ふふっ。その面倒を隠そうともしない顔も素敵ですよ?
実を言うと久しぶりのかくれんぼなので、鬼の側に回ってアズールを探すのも一興かと考えていたんです。やはり、真剣勝負の場で考え事なんていけませんね。
あっという間に見つかってしまいました。
それから、フロイドと手分けしてアズールを探そうという話になりまして。
何しろ貴方は強敵ですから。僕たちも本気を出して探さなくては。
海の中ではなかなか勝てませんでしたが、陸上ならこちらにも勝機があるかもしれませんしね。
フロイドが西側を探すというので、僕は東側をと言って食堂の前で別れました。
本当にムダに広い学園なので、かくれんぼの場にはピッタリですよね。
おっと、大丈夫ですか?さっきからフラついてますね。
熱は?……なさそうですけど。
もし具合が悪いのであれば、朝食を食べた後にでも保健室に。
……。そうですか。
また無理をなさるようでしたら、うっかりどこか齧ってしまうかもしれませんから。そのつもりで。
齧ると言えば、昨日アズールを探している時に、不思議な体験をしました。
東の校舎の、確かあれは4階だったと思います。
いえ、あなたを探すのに頭がいっぱいで、階数を覚えていなくて。1階や2階ではではないことは確かなのですが、その記憶だけ何故か、ぼんやりと。
はい。すみません。
ただ、どの資料室も実験室も鍵がかかっていたことは覚えています。廊下を奥まで進んだのですが、結局その階にはアズールの気配は感じられませんでした。
それで、次の階に行こうと廊下を戻っていた時、ある部屋の中から咀嚼音らしき音が聞こえてきたのです。
こう、ガリガリというか、ボリボリというか。
硬いものを齧る音ですね。
僕はこっそりとおやつを食べている、随分な食いしん坊さんでもいるのだろうと、特に気にもしませんでした。
でも、歩くたびに全ての部屋から聞こえてくるんですよ。
ええ。咀嚼音が。
バリバリ、ボリボリ、ゴリゴリ、ガリガリ。
なんともまあ五月蠅くて。でも、少し気になるじゃないですか。
皆、一体何を食べているのだろう、って。
僕、好奇心が旺盛なので、階段近くの部屋をノックして聞いてみたのです。
「貴方はいったい何を食べているのですか」と。
はい。中途半端で申し訳ないのですが、話はココで終わりです。
ああ、返事はありませんでしたよ。
あれだけ五月蠅いと、僕の声は届かなかったのでしょうね。
結局、貴方を見つけることもできず、約束の時間になったので戻りました。
ええ、とても悔しいです。今から再戦が楽しみですね。
